Afternoon Library 

       お気に入りの時間/March

 

2006.3
「泳ぐのに安全でも適切でもありません」「都の子」江國香織 「白夜行」「時生」東野圭吾 「十五少年漂流記」ヴェルヌ 
「肩越しの恋人」唯川恵 「海の鳥・空の魚」「失恋」鷺沢萠 「スローグッドバイ」「1ポンドの悲しみ」石田衣良 「命」柳美里 
「スプートニクの恋人」村上春樹 「春の雪」三島由紀夫  「愛は束縛」サガン 「検屍官」P・コーンウェル

 

感想文:「春の雪」♪ 3/20

予想通り読むのに時間がかかってしまった!文章を読むのは、人の話を聴くのとよく似ていて、

目だけが字を追って、頭に全く入らないことがある。それは語り手の口調が耳に馴染まないか、
私がうわの空なのか、そのどちらかで、たまたま今回はその両方だったのかもしれない。

 

感想文:「海の鳥・空の魚」♪♪ 3/22

鷺沢さんが亡くなってもうすぐ二年。この本のあとがきに

「どんな人にも光を放つ一瞬がある。その一瞬のためだけに、そのあとの
長い長い時間を、ただただ過ごしていくことも出来るような」と書き、
海には魚、空には鳥が、そこにあるべきものとして神様に創られたというけれど、
何かの手違いで海に放り投げられた鳥、空に飛び立たされた魚がいたかもしれない、
が、「間違った場所であえぎながらも、結構生きながらえていっただろう。
他の連中に比べて何倍もやりにくかったろうけれど、」と書いた鷺沢さん。
何度も光を放ち、「間違った場所」で生きながらえるやり方を著作の中で表現していた彼女が、
向こう側へすり抜けてしまったことに、自ら放った光が届かない絶望の闇を感じる。
すり減らずに、背負わずに生きることは難しい。
そして、生物的な理を別にして、自分の生きた意味を何かの証として受け取って
向こう側へ行くのも簡単なことではないと思う。

 

感想文:「愛は束縛」♪♪ 3/24

相手への想いが、相手のためにということ全てが

もしかしたら自分の勝手な欲望なのかもしれない、
思う気持ちを書いた鷺沢さんの「欲望」(「失恋」所収)
を読んだ後、この本を読んだのは
なんだか運命的な気もする。
 
自分のために、相手にはこうなって欲しいから
こういうひとであって欲しいから、
という気持ちから発生した「相手のための」行動は
やはり欲望だし、
束縛なんだろうな、と思う。

  

感想文:「肩越しの恋人」♪♪♪ 3/27

濫読に加え“積ん読”もしがちな私。積んであるならまだしも、時々大掃除を思い立つと、

作者別とか分類別に本棚に入れてしまい、既読と未読の区別がつかないことがままある。
この本も本棚でタイトルを確認した時には未読だと思ったんだけれど、
読み始めて「あっ、前に読んだ!」と思い出した。でも、面白いのでまた最後まで読む。
この物語は登場人物がいい。特に大好きなのは“るり子”。
男女の平等とかセクハラ問題について話している場で、
「フェミニズムを叫ぶ女ってブスばかりなのよね」なんて言ってしまう彼女は、
常に愛に翻弄されていないと生きてゆけない鮫科の女。そして、
「我慢している女はみんな貧乏くさい顔をしている」ことに気づいてから、
「どんなに落ちぶれても、我慢づよい女だけには絶対にならないでおこう」と、
彼女は常々心に誓っている。  なんてかっこいいんだ、るり子!
見た目は装っても心は装わない、そして歯に衣もきせない女。
「私って天然だから〜」とか言ってる女とは格が違う。
女であることに対して勇ましい。そして潔い。そういうひとってなかなかいない。

 

 

 

 

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